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Association for Sakhalin & Karafuto History


サハリン樺太史研究会

追悼 

秋月俊幸 元・北海道大学附属図書館北方資料室主任    2023年12月21日

            元北海道大学附属図書館北方資料室主任・秋月俊幸さんの逝去

 元北大附属図書館北方資料室主任・秋月俊幸さんは、去る9月23日、ご病気により逝去されました(享年93歳)。謹んで哀悼の意を表し、お知らせ致します。

<北大附属図書館北方資料室勤務> 
 秋月さん(長崎県佐世保市生)は東京教育大学文学部史学科西洋史学専攻(ロシア史)卒業、文部省図書館職員養成所修了後、1959年6月、北大附属図書館に奉職されました。

<北大附属図書館北方資料室> 
 1966年4月、北大では文学部に附属北方文化研究施設が設置され、これに伴い、北方圏の自然・文化の諸研究を目的とした「北方文化研究室」(学内措置の研究施設、第3代・北海道帝国大学高岡熊雄総長の発議により1937年に設置され、専属の研究者を配置せず、各学部選出の委員で運営、各種コレクションを所蔵、高倉新一郎・知里真志保等の論文を掲載した紀要『北方文化研究報告』全20輯を刊行)が廃止となりました。

 1967年、附属図書館では上記の「北方文化研究室」所蔵の北方資料と自館所蔵の北方資料(北海道・樺太・千島等関係と北大関係資料)を合体して、新たに「北方資料室」を設置し、北方資料関係に精通の秋月さん(当時・附属図書館参考掛長)が附属図書館勤務の吉田千萬さん・永井知子さんの助力を得て、その開設準備・同資料室での資料収集・整理を兼務されました。次いで1975年4月、秋月さんは同資料室主任に就任、1992年の定年退職まで同資料室の資料の一層の整備充実を行うと共に、同資料室の各種コレクション関係目録(秋月俊幸氏・略歴及著作目録参照)を刊行されました。同資料室所蔵の各種コレクションとその関係目録は、国内外から高く評価され、北海道大学附属図書館が1985年度に「『開拓使外国人関係書簡目録』の編纂」により国立大学図書館協会賞を受賞することになりました。また秋月さんは北方資料室の活動の一環として、北大前身・札幌農学校関係資料の整理や北大関係写真類及び学内出版物の収集を積極的に行いました。これらの資料は「北海道大学大学文書館」(2005年開館)に引継がれています。

<日露関係史・日本北辺地図史等の研究> 
 秋月さんは歴史研究者として日露関係史・日本北辺地図史等の各研究に従事され、多数の著書・訳書等(秋月俊幸氏・略歴及び著作目録参照)を著しており、その著書・論文類は当該分野の関係著書・論文に多数にわたり引用・参照されています。秋月さんの著書『日露関係とサハリン島』と関係論文はロシア人研究者によりロシア語に翻訳されています。

<外務省からの諮問>
 1970年代、外務省は北方領土関係の日ソ交渉に関連し、北方四島の日本領土関係の諮問を秋月さんに求め、その都度、北方資料室所蔵資料に基づき、その歴史的根拠を提示されました。

 秋月さんはその研究業績が認められ、附属図書館を定年退職後、直ちに北大法学部専任講師に任ぜられ、1995年に同学部助教授で停年退職されました。かかる国立大学職員から国立大学教員への任用は、全国的に希有な事例です。
 
 以上の如く、秋月さんは北大附属図書館北方資料室における資料の収集・整理等の実践並びに関係目録の刊行を行い、北方資料室を北大が誇る知的財産形成の場に高めるべく貢献されました。併せて歴史研究者として日露関係史・日本北辺地図史の優れた著書・論文を表し、斯学の進展に寄与されました。秋月さんのご活躍と研究業績に深甚なる敬意を表し、謹んでご冥福を祈念致します。              

                               2023年師走 出村 文理・記(元・北大事務職員)

 参考資料:秋月俊幸著、出村文理編「秋月俊幸氏 略履歴・著作目録」(2023年12月公開 PDF: 480KB)
 *本資料は、生前に秋月俊幸氏が作成し出村文理会員に託した略履歴・著作目録を出村会員が編集したものです。
 *ご遺族の了解を得た上で公開しております。
 *編者やご遺族のほか、複数の本会会員が確認作業を行ないましたが、不完全・不正確な箇所が残っております。
 *それらを理解したうえで閲覧・参照してください。

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