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Association for Sakhalin & Karafuto History


サハリン樺太史研究会

追悼 

今西一(IMANISHI Hajime)元・副会長                 2022年04月26日

                        追悼文

 2022年1月6日、サハリン・樺太史研究会の副会長を務められた今西一さんが救急車で、病院に緊急搬送されましたが、意識不明のままご逝去されました。急性心筋梗塞だったそうです。
 
 今西さんは、小樽商科大学教授として、2008年5月、サハリン国立大学にて開催された国際シンポジウム「サハリンの植民の歴史的経験」の日本側代表団の団長を務められました。このシンポジウムがきっかけとなり、札幌でサハリン・樺太史研究会が組織され、今西さんは副会長として運営に当たってこられました。
 
 本会のウェブサイトの「研究会履歴」を見ますと、たびたび例会の報告者、司会者として登壇されたことがわかります。また、今西さんが研究代表者となった科学研究費・基盤研究(B)「19~20世紀北東アジア史のなかのサハリン・樺太」(2009~2012年度)は、創立まもない本会にとって、サハリンへの資料調査や国内外の研究者を札幌の例会におよびするに際して貴重な共同研究組織となっていました。

 本会が札幌を拠点にする研究会でありながら、メール会員および例会の登壇者が全国に広がっているのは、まさに今西さんのご尽力とネットワークによるものでした。
 
今西さんは、サハリン・樺太史研究を日本植民地史、日本帝国史の視野で捉え、より大きなスケールで描くことを実践され、また私たちに教えてくださいました。今西さんの御編著『北東アジアのコリアン・ディアスポラ―サハリン・樺太を中心に』小樽商科大学出版会、2012年、および今西一・飯塚一幸編『帝国日本の移動と動員』大阪大学出版会、2018年、は、こうした研究活動の集大成ともいえる著作です。

 突然のご逝去で、誰よりもご本人が驚いていることでしょう。生前から自分の葬式はしなくてよい、と語っていたと伺っております。静かにご冥福をお祈りしたいと思います。ありがとうございました。
                       
                                  サハリン・樺太史研究会会長 白木沢旭児


              今西一・元副会長のサハリン・樺太史関連研究業績

編著
今西一編著『北東アジアのコリアン・ディアスポラ:サハリン・樺太を中心に』小樽商科大学出版会、2012年。
今西一編『サハリン・樺太の朝鮮人:安山市「故郷の村」でのインタビュー』今西一、2014年。
今西一、飯塚一幸編著『帝国日本の移動と動員』大阪大学出版会、2018年。

論文
今西一「国内植民地の「遺産」 : サハリン・シンポジウムで考えたこと」『女性史研究ほっかいどう』3号、2008年。
http://hdl.handle.net/10252/1180
今西一「植民地としてのサハリン」『評論』170号、2008年。
http://hdl.handle.net/10252/1728
今西一「国内植民地論・序論」『商學討究』第60巻1号、2009年。
http://hdl.handle.net/10252/3453
今西一「「植民地責任」への旅」『アリーナ』8号、2010年。
http://hdl.handle.net/10252/4137
今西一「樺太・サハリンの朝鮮人」『小樽商科大学人文研究』121号、2011年。
http://hdl.handle.net/10252/4573
今西一、手島繁一、手島慶子「樺太・共産党・アイヌ -水落恒彦氏に聞く(1)」『小樽商科大学人文研究』124号、2012年。
http://hdl.handle.net/10252/5039

科研費(代表者)
「19~20世紀北東アジア史のなかのサハリン・樺太」科学研究費補助金・基盤研究(B)、2009 〜 2012年度(研究課題:21320117)。
「帝国日本の移動と動員」科学研究費補助金・基盤研究(A)、2013~2016年度(研究課題:25244030)。

そのほか共同研究(代表者)
「近現代サハリン・樺太における境界 変動と跨境的人流・物流に関する研究: ロシア極東・北東アジア地域における相互理解に資する歴史記述を求めて」北海道大学スラブ研究センター「スラブ・ユーラシア地域(旧ソ連・東欧)を中心とした総合的研究」プロジェクト型共同研究、2010年度。
「北東アジアのコリアン・ディアスポラ」北海道大学スラブ研究センター「スラブ・ユーラシア地域(旧ソ連・東欧)を中心とした総合的研究」プロジェクト型共同研究、2012年度。


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